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2013年12月

2013年12月31日 (火)

ひねくれ者のエンターテインメント

2013年12月13日。私は慣れない場所である"六本木"に向かっていました。
その理由は"エルビス・コステロ"のライヴを観るためです。
10代でこのジ、い、いや、このお方を知ってから、
特徴である軽いポップチューンと、"あの"声が好きで、
私の中で、"相手が死ぬ前に一度は観てみたいアーティスト"の候補でした。

来日公演があることを知りました。

そういった訳で今六本木にいるわけです。

予備知識は何も仕入れてはいません。が、
直前に"Wise Up Ghost"というアルバムが出ています。これは聴いています。
ですが、これは"Elvis Costello & The Roots"の名義です。
今回のライヴ名義は、"Elvis Costello & The Imposters"。
"Elvis Costello & The Imposters"といえば、
"Elvis Costello & The Attractions"の屋号変えなので、
歴戦の強者どもとセッションをするということになります。

何をやるのかさっぱり分かりません。
なので、"まっさらがいいかな?"と思い調べませんでした。

会場に着き、ステージを見回します。
背景はブラウン管テレビで放送終了時の画面。
左手には檻のような物。右手には曲名を書いた巨大なルーレット。
その手前にはハンマーゴング。

何をやるのかさっぱり分かりません。(2回目)

そして、ライヴが始まります。コステロが出てきます。
ギターをかき鳴らしながら歌います。

"あー、CDと同じ声だw"

最初に書きましたが、"相手が死ぬ前に(2回目)"観たかったアーティストです。
もう60近いです。当然声帯も衰えていることだろうと思ってましたから、
CDと同じ声が出せると思っていませんでした。
いわゆる"she"とか"smile"とかを中心に構成するものと考えてましたから、
初期の軽いポップチューン全開で来るとは思っていませんでした。

ステージの檻には黒人女性のダンサーが踊っています。
バニーガールには金髪白人女性がいます。
そして、コステロはスタンディング席に降りてきて客を選び、
ルーレットを回して選ばれた曲を歌う、お客はステージに上がって酒を飲みながら
間近で選んだ曲を披露してもらえる。

なんとも夢のような話です。

ただ、イライラしているお方がいます。そう、コステロです。

こんなやりとりがありました。

"踊りましょう"なるボードが出ました。
確かに自分も含めて客のノリがイマイチ。
ステージ上からガムを食いながら、じっと客席を眺めるコステロ。

ルーレットでのコステロとお客さんのやりとり。
"~meny meny songs.~my favourite song?"
"she"
"OK!OK!Let's she!"

このようなやりとりで"she"が始まりました。
いやね、"she"ってカバーなんだけどさ。
持ち歌"たくさん"あるって言ってるのに・・・。

ただ、

お客とのコミュニケーションで、道化役にもなれるし、
ギターテクニックも凄いし、何しろあの"声"。歌声が素晴らしすぎる。

"凄いなあ、これこそエンターテインメントだよ。"

と感じ、楽しんでいました。
楽しかったので、あっという間に時間が来ました。21:00です。
1度目のショーが終わります。
よくて、あと"アンコール2回ぐらいか?"と思いました。

ただ気がかりなのは、コステロが退場する際"怒りの動作"を行いました。
いわゆる"ポー○"の動作です。
"確かに"お客のノリは悪かったのは事実です。自分も踊るつもりで来ていませんし。
大御所と言うこともあり"鑑賞"する構えでいました。

1度目のショーの余韻も冷めぬままにコステロが登場します。
いきなり"smile"です。

"やっぱいい人だ"

と、このときは思いました。ええ、このときは。

1度目のアンコールが終わりません。もうかれこれ10曲ぐらいやったと思います。

"何かおかしい"

いくらバカでも気づきます。いくら何でもアンコールで10曲もやるのはおかしいだろ。
ここで、"エルビス・コステロ"の私見を思い出します。
(1)多作である。ざっと考えても持ち歌は1000曲はある。
(2)ロック、ポップ、ジャズ、クラシックなど、何でもできる。
   つーか、その道のアルバム出しているぐらい多才である。
(3)自己作品で代表曲がない。ただ、佳作は多数ある。
(4)性格がひねくれている。

(3)について補足します。
上記にある"she"や"smile"は"日本では"代表曲ですが、カヴァーなのです。
なので、人にエルビス・コステロのを説明するとき、

"ノッティングヒルの恋人の歌で有名な"

と言えば"ああ、あの"と、なります。別にカヴァーが代表曲でもいいのですが、
(1)のとおり持ち歌多数なので、ロッド・スチュワートじゃああるまいし、
代表曲がカヴァーっつーのもいかがなものかと。
佳作が多いつーのは、自分が作った曲はちゃんとプロデュースせず、
変にアレンジしたがる。例えば、

・サビの無昂揚(サビのバックコーラスをメインにする、違和感)
・サビとイントロをくっつける(曲が終わらない感じ、違和感)
・ソロパートの時、違和感が出るくらいリズムを変える(踊りづらい)
・曲が余韻もなくあっさり終わる

以上を踏まえて(4)を考慮すると、何となく佳作が多いのが分かります。
このお方、自分の作品は平気で悪くアレンジするし。
ただ、カヴァーはリスペクトしているのかどうか分かりませんが、
素材どおりのアレンジをする。
歌声よし、アレンジ完璧なのだから、自然と傑作となるわな。

"For The Stars Anne Sofie Von Otter Meets Elvis Costello"

このアルバムが全てを物語っています。このアルバムは傑作です。

思い出した!
俺の知っているエルビス・コステロは、

"性格がひねくれて"いて、"プライド"が高かったのだ。

と思い出しつつ、容赦なく次の曲のギターリフがかき鳴らされます。

そうか!今回のライヴの主なる目的は、

"踊りましょう"なのだ!

"俺の曲で踊るなら、sheでも何でもやってやる。だから俺の曲で踊れ"なのだ!

分かりました!。分かりましたけど・・・。
踊るつもりできていないし、酒も呑んでいない。イマイチテンションが上がらないし、

何より、

"あなたの曲は踊りにくい"

そんな葛藤の中、22:00近くになりライヴが終わりそうな雰囲気になりました。
時間も時間ですし、正直に思いました。

"やっと帰れる"

そんな中、コステロ様が発した衝撃の言葉。

"One, two, three, four!"

"いい加減にしやがれ。このクソジジイ(笑)"

目の前にいらっしゃる方は、"相手が死ぬ前に(3回目)"ではありません。
ヘタしたら自分の方が先に死ぬかもしれないぐらいヴァイタリティーにあふれ、
持ち歌を1000曲の中からやりたい曲をやっている。
しかも、自分で弾ける、歌える、その歌声の見事なこと見事なこと。

やっと気づきました。これは軟禁です(笑)。
コステロ様が満足しなければ、このライブは終わりません。
それに気づいて帰路へ急ぐ者、コステロ様が満足するように踊る者。
それらをつぶさに見て、次の曲に入ります。

と、したとき、何か終わりそうな感じになりました。
会場のライトもそういう感じになっています。

"やっと終わるか・・・"。そう思いました。

が、

"Ladies and gentlemen.Next song~"

"今から客に曲選ばすのかよ(笑)"

2人のカップルが選ばれました。
ハンマーゴングで小ネタをやり、ゴングが鳴ったにもかかわらず、
選択が2回あったのにもかかわらず、その曲はやりませんでした。
いい加減にしろよこのクソジジイ。

可哀想なのはこのカップルでした。男檻の中に入れらされ踊らされます。
たまにじじいが男を見てちゃんと踊っているか確認します。
10曲ぐらいやりましたか。すっかり忘れてましたが、
まだステージ上にいました。
いい加減にしろよこのクソジジイ。まだ満足しないのか。

途中、

じじいがこの曲で歌えという動作をしました。
"この曲"というのは知らないから、英語を聴き取って一緒に歌います。
歌わないと帰れないから。

そんなこんなの中22:40ぐらいですか。終わりそうな感じになりました。
まあその前に5回ぐらい騙されているので、油断は出来ませんが。
そしてありったけの"満足したよ!"、"最高だったよ"という表現をします。
すると、コステロ様がニヤリとしました。

"満足したのか?帰れるのか?"

そしてコステロが引っ込みます。
そしてお約束ではありますが、アンコールの要求を一部のファンがします。
もう一部(自分を含む)では、"アンコールの要求の拒否w"とも言える、
"ざわつき"が起こります。もう帰りたいんだよw。腹減ったし。
どちらが正しいのかは分かりませんが、これでライヴ終了となりました。

公演時間3時間、曲数は50曲はやったと思う。
本編よりアンコールの後が長かったという変則的なライヴでした。

ひねくれ者が奏でるエンターテインメント。
最高だった。ジジイまた来てくれ。
次は"For The Stars"やってくれ。高揚感がない"For The Stars"を。

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